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  肝臓病対策は健康診断から

   なんともないうちに、血液検査で早期発見

   

 

人間の体内で最も大きい臓器・肝臓

 肝臓の働きは多岐に渡り様々な他の器官とも関係しています。


 その肝臓の障害が起こる病気が肝臓病です。

 ウィルスやアルコールなど複数の原因を持つ厄介な肝臓病は、症状が表れにくく早期発見の難しい病気でもあります。

 肝臓病の早期発見の重要性についての解説。


GOTとGPTの数値が高いほど肝細胞の壊れた数が多い

 健康診断の血液検査などで、GOTGPTという言葉を聞いたことがあると思います。


 これらは主に肝臓の細胞(肝細胞)の中にある酵素のことなのですが、肝細胞が壊れると血液中に漏れ出てきます

 

 つまり血液検査でGOTとGPTの数値が高いほど、肝細胞の壊れた数が多いということです。

 この数値を調べれば、あなたが今肝臓病にかかっているかどうか分かるのです。

 

 人間の体の中でも非常に重要な役割を担う肝臓

 この大切な臓器が、正常に働かなくなってしまうのが肝臓病です。


 早期に発見し素早く治療したいものですが、厄介なことに自覚症状が現われにくいのが肝臓病の特徴です。

 機能不全でも痛みを伴わない、そんな肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれています。

 

 身体に黄疸(おうだん)がでると肝臓病の疑いがあると、よく言われています。

 しかし黄疸が出るのは、かなり病状が進行した時、もしくはすでに病気がピークを過ぎた時なのです。

 

 また急性肝炎の初期には「体がだるい」「食欲がない」といった症状が出ますが、これは風邪の症状によく似ています。

 この段階で肝臓病であると判断するのは専門家でも難しいです。

 

 肝臓病の発見には病院の健康診断、特に血液検査をぜひ受けていただきたいです。

 血液中のGOTとGPTを調べてみれば様々なことが分かります。

 例えばGOTがGPTより高いとアルコールによる肝障害か肝硬変が疑われ、GPTの方が高いと慢性肝炎や

 脂肪肝が考えられます。

 これらの数値が低くても何も問題はありません。怖いのは高い時です。

 

 覚えておくのは、GOTかGPTの数値が百を超えたら、肝臓に何らかの治療を必要とする異常があると考えられことです。

 急性肝炎では2000〜3000単位くらいまで上昇します。

 GOT > GPT  アルコール性肝障害・肝硬変の疑い
 GOT < GPT  慢性肝炎 ・脂肪肝の疑い

GOTかGPTの数値が100を超えたら要再検査。

お医者さんに詳しく相談しましょう。

 

 また、γ(ガンマ)−GTPという酵素にも注目してみてください。

 γーGTPの数値は薬を大量、長期に服用した時にも上昇しますがアルコールの飲みすぎに 敏感に反応する特徴があります。

 お酒飲みでこの数値が高い方はアルコール性肝障害が考えられます。


血液検査で注意したい、3酵素の正常値の目安

 あくまで目安です、すぐ病気という訳ではありません。

 この数値を超えた場合は担当医からよく説明を聞いてください。

GOT

(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスマミナーゼ)

10〜30単位程度

GPT

(グルタミン酸ピルピン酸トランスアミナーゼ)

5〜25単位程度

γ-GTP

(ガンマグルタミル・トランスペプチターゼ)

0〜50単位程度


肝臓と肝臓病のこと

 肝臓は、心臓や胃などに比べて、役割が分かりにくいかもしれません。

 それは、肝臓がいろいろな働きを担っているためでもあります。

 

 主な働きとしては次の3つです

 

 1.代謝

   体が摂取した栄養を、体の各部分が必要とする物質やエネルギーに作り変える働き。

 

 2.解毒

   体外から入ってくる有害物質や、体内に発生するアンモニアを、水や脂に溶けやすくして尿や胆汁の中に排泄します。

 

 3.脂肪の消化吸収を助ける「胆汁の合成」

 

 このように様々な役割があるから、肝臓が正常に働かなくなる肝臓病は深刻な病気なのです。


日本人の肝臓病患者の約8割を占めるのが、ウィルス性の肝臓病です

 よく勘違いされるのですが、ウィルス性の肝臓病とはウィルスによって肝細胞が破壊される病気ではありません。

 人間の免疫機構が、肝細胞の中に入り込んだウィルスを排除しようとしてウィルスだけでなく

 肝細胞ごと破壊してしまうために炎症が起きている状態のことを指します。

 こうして起こるウィルス性の肝障害には、急性肝炎や慢性肝炎があり悪化すると肝硬変や肝臓ガンにつながっていくのです。

 

 急性肝炎は治療すれば6ヶ月以内に治る一過性の炎症で、慢性肝炎は6ヶ月以上続く炎症のことを言います。

 肝炎ウィルスにはA型からE型までありますが、日本ではD型とE型は非常に少ないです。

 A型はほぼ慢性化しませんし、B型も大人なら急性肝炎で済むことがほとんどです。

 

 問題なのはC型

 感染すると7割が慢性化してしまいます。

 さらにC型肝炎ウィルスは形を変えやすく、効果的なワクチンをつくることができないという厄介な代物です。

 しかし現在ではC型肝炎ウィルスの感染経路が輸血や血液製剤によるものだということが明らかになり、

 血液製剤へのC型肝炎ウィルス感染の有無を事前にチェックするシステムも構築され、感染者は劇的に減少しています。


ウィルス以外の原因としては、アルコールが問題になっています

 先の説明のように、肝臓は体内のアルコールを解毒してくれる臓器です。

 ですからアルコールを大量に摂取すれば肝臓を余計に働かせることになり、ついには障害が起こってしまいます。

 こうして起きるのがアルコール性肝障害です。

 

 アルコールを大量に取り続けると、肝臓はその処理に追われてしまい中性脂肪の処理がおろそかになってしまいます。

 その結果、中性脂肪が肝細胞に蓄積されるのが脂肪肝です。

 

 しかしお酒を飲まなければ脂肪肝にならないというわけではありません。

 実は栄養の摂り過ぎによる肥満も問題です。

 アルコールを摂取していなくても脂肪肝から、さらに肝炎になってしまうNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)という

 病気が近年注目を集めています。


肝臓病の病状が進行すると、肝硬変になる恐れがあります

 肝硬変とは、破壊された細胞が硬くなり肝臓内部の血液循環に異常を生じさせる病気です。

 腸で吸収された栄養分は全て、門脈という血管を通り肝臓に運ばれて分解されるのですが肝硬変にかかると

 この門脈の流れが悪くなります。

 すると食道や直腸などの静脈から肝臓への流れが滞り、静脈が腫れてこぶのようになってしまうのです。

 食道静脈のこぶ(食道静脈瘤)が破裂すると、大量に吐血することになります。

 

 

 <肝臓の働き>

 肝臓は、人間の体内で最も大きな臓器。

 体に入ってきた栄養は、全て肝臓に送られ代謝される。

 そして栄養以外の有毒な成分は解毒し、体外へ排出する。

 さらに脂肪の消化・吸収・不要物の排泄に欠かせない胆汁を合成するなど、その働きは多岐に渡っている。

 

肝臓が悪いと他の器官にまで影響がでてしまいます。

「なんともないから健康診断なんて必要ない」という考え方は改めてください。


肝臓病の予防や治療のために大切なこと

 肝臓病の予防や治療のために大切なのは、基本的には栄養の摂取です。

 しかし何事も過剰摂取は禁物です。

 

 よく肝臓病対策として「高タンパク高カロリーが必要」と言われますが、実はこれがくせ者です。

 なぜなら、現代の日本人の食事はすでにかなりの「高タンパク高カロリー」だからです。

 余計に食事を摂り過ぎて、かえって脂肪肝にかかる方も少なくありません。

 大切なのは、バランスの良い食事を取ることです。

 

 また、食後は肝臓が最も活発に働いている時間です。

 ですから少なくとも30分から1時間くらいは、ゆっくり座ってテレビを見るなど安静にしてください。

 食後すぐの運動はくれぐれも禁物です。

 

 とはいえ、それ以外に時間では適度な運動が体に良いことは言うまでもありません。

 疲れたら止めるという程度で構いませんので毎日体を動かしてみてください。

 

 アルコールが原因の肝障害であれば、もちろんお酒を控える必要があります。

 現在肝臓病ではない方も、1日に日本酒2合、ビールの大ビン2本以上は飲まない方が賢明でしょう。

 またアルコール性肝障害は女性のほうがかかりやすい、ということが統計的に分かっています。

 女性は特に注意してください。

 

 脂肪肝の原因はアルコールだけでなく栄養の取りすぎによる肥満にも注意が必要です

 計算方法は色々ありますが身長に対して理想体重というものがあります。

 

 

理想体重の計算法

(身長)×(身長)×22

 

例) 身長1.6mなら

1.6×1.6×22=56.32

   よって

    理想体重は 56、32kg

 体重は、この値からプラス5kg程度に抑えるようにしてください。

 急なダイエットは体に負担をかけますから、長期的に月2kgを目標に減量を心がけてみてください。


ウィルス性肝臓病の予防には感染経路が問題となります。

 

 具体的には、生水や豚などの生肉を避けることです。

 

 あまり知られていないところでは薬の副作用による肝臓病があります。

 例えば風邪薬などでも体質によって肝障害を起こしてしまう可能性があるのです。

 血液検査の結果、服用してから1ヶ月の間、何も問題がなければ大丈夫ですが異常が出たらその薬は以後服用しないでください。

 また、一度目は問題なくても二度目の服用で異常が起きる場合もありますので、薬の服用にはくれぐれもご注意ください。

 

 どんな病気でも同じですが早期に発見すれば効果的な治療ができます。

 特に、症状の出にくい肝臓病の場合は「症状が無い段階で検査する」ことが肝心です。

 40才を超えたら、少なくとも年に一度は健康診断を受けるようにしてください。


肝臓をいたわるためには、こんな行動を控えてください

 

 ・アルコールの大量摂取

  1日に日本酒2合、ビール大ビン2本くらいなら問題ありませんが、それ以上の飲酒は肝臓に負担をかけます。


  また、脂肪肝の恐れも。

 

 ・バランスの悪い食事や食べ過ぎ

  様々な栄養を偏りなく食べることが大事。


  また、どんな食事も食べ過ぎは良くありません。 肥満は脂肪肝にもつながります。

 

 ・食後すぐの運動

  適度な運動は健康に効果的ですが、問題は食後すぐに運動すること。 食後30分から1時間は安静が必要です。

 

 「なんともないうちに、健康診断を受けましょう。」


まだ若いからと、安心していると・・・・

 40歳代に多い脂肪肝 ・ 過食・大量飲酒が原因

 食べ過ぎやお酒の飲み過ぎが重なると脂肪肝になり、肝硬変で死亡することもありますから注意しましょう。

 

 会社などの定期健康診断で、脂質異常(高コレステロール)に次いで検査の異常値を指摘されることが多いのが

 肝機能(GOT、GPTなど)の数字です。

 この多くは大食いや大量飲酒からくる脂肪肝です。

 

 検査を受けた人の10数%〜30%は脂肪肝といい、特に40歳前後の中高年に多く見られます。

 最近では女性や若い年齢層にも増えています。

 

 初期の自覚症状がないため、ほとんどの人は健康診断や他の病気の精密検査中に偶然見つかることが多いのです。

 正常な肝臓にはコレステロールや中性脂肪などの脂肪が全重量の2〜3%含まれていますが、脂肪肝になると

 10%以上も脂肪が蓄積されます。

 脂肪肝は日常生活にすぐには支障をきたしませんが、放っておくと肝臓の働きが徐々に衰え、長期的には肝硬変になって

 死に至ることもあります。

 

 さらに怖いのは、高血圧糖尿病高脂血症痛風動脈硬化など全身で病気が進行している可能性が高いことです。

 やがては心筋梗塞脳卒中などを発症する危険があります。

 

 「最近太った」「よく車を使う」「脂っこいものを好む」「お酒はほとんど毎日飲む」などの方は要注意です。

 脂肪肝の段階であれば主治医と相談の上、食生活を改善し運動を増やし、お酒は控えるなどの生活習慣の改善で

 肝機能はよくなります。

 糖尿病や高脂血症、高血圧などがある方はきちんと治療しましょう。


40歳以上でB型、C型肝炎が心配な方は検診を!

 臓器別がん死亡者数の第3位を占める肝がんのほとんどは、B型およびC型肝炎ウイルスの持続感染の人に発生し

 特に50歳代から60歳代の年齢層に好発することが分かっています。

 B型肝炎ウイルスもC型肝炎ウイルスも、ウイルスを持っている人の血液がほかの人の血液の中に入ることによって感染します。

 

 例えばウイルスに汚染された輸血や注射器、注射針などによってうつったり、感染者との性交渉や感染者が装着したピアスを

 消毒せずに使用した場合、また感染している母親から産まれた子どもも感染の危険があります。

 

 わが国の肝炎ウイルス保有者(持続感染者またはキャリア)はB型肝炎で100万〜150万人、

 C型肝炎で100万〜200万人いると推定されていますが、これらのウイルス保有者の中から慢性肝炎となり、

 さらに一部の人では10年以上たってから肝硬変から肝がんに進行します。

 

 発病しなくても血液を介してほかの人に感染させることがあります。

 このため肝がん予防のためには肝炎ウイルスの保有者を早期に見つけ慢性肝炎の治療を適切に行うことが重要です。

  


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