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内視鏡というと、胃や大腸などの用いられるものを思い浮かべる人が多いかも知れませんが、 全身の関節にも用いられています。 これを「関節鏡」と言い、特に膝関節の障害の治療に威力を発揮しています。
<関節と内視鏡>関節の内部を見る「関節鏡」 膝の障害によく用いられている関節の内部を直接見て診断や治療を行うための内視鏡を「関節鏡」といいます。 関節鏡は日本で開発された器具で、膝関節の中を見ることができるようになったのは20世紀初頭のことです。
さらにその後、1962年に世界初の関節鏡による膝の手術が日本で行われ成功を収めました。 この関節鏡を使った「関節鏡視下手術」は、従来の手術より体にかかる負担が軽く日常生活に早く復帰できるのが 大きなメリットです。 そのため現在、特に膝の障害の治療では標準的な手術法として広く行われています。
・変形性膝関節症などの膝の障害が主な手術対象関節鏡が特に膝の手術で広く用いられているのは、全身の関節のなかでも膝は大きな負担がかかる部位で、 関節鏡による手術が必要になる人が多いためです。 膝は常に体の重みをささえているとともに、まっすぐ伸ばしたり曲げて正座をしたりと大きな動きも要求されます。 そのため膝関節には障害が生じやすいのです。
関節鏡視下手術の対象になる主な膝の障害は、「変形性膝関節症」「半月板損傷」「靭帯損傷」の3つです。 変形性膝関節症は、中高年に多い膝の障害で一部の人が関節鏡視下手術の適応となります。 一方、スポーツなどで膝に大きな力がかかって起きたりする「半月板損傷」や「靭帯損傷」では、関節鏡視下手術が 第一選択の治療として行われます。 <治療・変形性膝関節症の場合> 軟骨や骨のかけらを関節鏡で取り除く 膝関節は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨をつなぐ関節です。 それぞれの骨の端の表面は、水分を多く含んだ弾力のある軟骨で覆われていて滑らかな状態になっています。 この軟骨が加齢などにより変性し水分が失われて硬くなってくると、膝にかかる衝撃を和らげるクッションの 役目を果たせなくなります。 すると、次第に軟骨がすり減って毛羽だった状態になったりして、そのために膝に痛みがあらわれてきます。 これが変形性膝関節症です。
膝に繰り返し「水」が溜まる人などが対象変形性膝関節症の症状が軽い場合は、運動や薬による保存療法を行います。 しかし、関節の変形が進んでしまった重症の場合には人工関節に置き換えたりする大掛かりな手術が必要になります。 そして、「保存療法だけでは不十分だけれど、大掛かりな手術をするほど重症でない」と言う場合に行われるのが 関節鏡視下手術です。
具体的には、「運動や薬だけでは痛みなどの症状が改善しない、膝に繰り返し「水」がたまる、骨や軟骨のかけらが 膝の骨の間にはさまって痛みがある」といった場合が関節鏡視下手術の適応になります。
痛みを和らげる効果が期待できる一般に、変形性膝関節症などに対する膝の関節鏡視下手術は腰椎麻酔をした上で行われます。 そして膝関節の周囲に5mm程度の小さな孔を数ヶ所開け、そこから関節鏡や器具を挿入して手術を行います。
膝関節の内部の状態は、関節鏡に内蔵されたカメラのレンズを通してモニターに映し出されます。 医師はそれを見ながら器具を操作して、毛羽だった軟骨を切り取ったり骨の間にはさまっている軟骨や骨のかけらを 取り除いたりします。
また、小さなかけらが関節内に浮遊しているときは生理食塩水で洗い流したりします。 このように、関節鏡で痛みの原因を取り除くことで痛みなどの症状は和らいでいきます。 ただし根本的な治療ではないので、しばらくすると再び痛みが起こってくることもあります。
手術時間は通常30〜40分程度で、翌日には歩けるようになります。 午前中の早い時間に手術をした場合は、その日の夕方に歩くことも可能です。 そして、早ければ手術の翌日には退院できます。
<手術後の注意>脚の筋肉を鍛え、体重を減らして膝関節への負担を減らす 関節鏡視下手術後は、膝関節の骨や軟骨への負担を減らすため脚の筋肉を鍛えることが大切です。 また、膝の動きを良くするため膝まわりを中心に脚のストレッチも必要になります。 さらに、肥満のある人は適正体重を目標に減量しましょう。
歩くときには膝に体重の約3倍もの負荷がかかるといわれています。 肥満のある人が体重を減らすと膝にかかる負担が減って、それだけでかなり痛みが和らぐ人もいます。
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