脳卒中の基礎知識
生活改善で危険因子を取り除き予防する
脳卒中は、がん、心臓病についで日本人の死亡原因の第3位です。
しかし、3大疾病の中でも脳卒中は病気にかかる人(有病率)が増えており、ある日突然起こる怖い病気なのです。
幸い命をとりとめても寝たきりになったり、手足の麻痺や言語障害などの後遺症が残ったりする厄介な病気でもあります。
脳卒中は、医学的には「脳血管障害」といいます。
脳の血管が詰まったり破れたりして、脳に供給される酸素や栄養が不足して脳が充分な機能を果たせなくなる病気の総称です。
脳卒中の「卒」には「突然」、「中」には、「当る」という意味があります。
つまり突然何かに当たったように倒れる脳の病気が脳卒中なのです。
脳卒中は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなる「虚血性」と、脳の血管が破れて出血する 「出血性」の大きくふたつにタイプに分けられます。
「虚血性」の代表は「脳梗塞」、「出血性」には「脳出血」と「くも膜下出血」があります。
以前は、日本では脳卒中の死因は脳出血が多かったのですが、最近は食生活の欧米化などに よって脳梗塞が増えてきました。
現在、脳卒中の死亡者の70%が脳梗塞、20%が脳出血、10%がくも膜下出血です。
脳梗塞はその原因によって3つに分けられます。
太い血管の動脈硬化が原因となる「アテローム血栓性脳梗塞」
高血圧などによって細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」
心臓にできた血栓が脳に流れて血管がつまり、重症の脳梗塞を起こす「心原性脳梗塞栓」
<脳卒中の症状>
虚血性(血管の詰まり) 脳梗塞 70%
出血性(血管の破れ) 脳出血 20%
出血性(血管の破れ) くも膜下出血 10%
<脳梗塞の原因による分類>
アテローム血栓性脳梗塞: 太い血管の動脈硬化が原因
ラクナ梗塞: 高血圧などによって細い血管がつまる
心原性脳梗塞栓: 心臓にできた血栓が脳に流れて血管がつまる
危険因子は生活習慣病と喫煙、大量飲酒、脱水症状
脳梗塞は、ある日突然おこりますが、実はさまざまな危険因子が積み重なって発症します。
危険因子として第一にあげられるのが、「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」「心疾患」などの生活習慣病です。
なかでも最大の危険因子が高血圧
最高血圧(140mmHg以上)と最低血圧(90以上)のどちらが高くても発症しやすくなります。
また、糖尿病や悪玉コレステロールの増加も動脈硬化を引き起こしやすいので問題です。
第二に、「喫煙」「1日2合以上の飲酒」「肥満」「運動不足」「ストレス」などの生活習慣病があげられます。
特に、タバコを吸う人は吸わない人の1.5倍も脳梗塞にかかりやすいという報告があります。
さらに、気をつけたいのが脱水状態
体内の水分量が少ないと血液が濃くなり、流れにくく、血管が詰まりやすくなって脳梗塞を起こします。
とくに高齢者は体内の水分が減少し、のどの渇きを感じにくくなるので、こまめな水分補給が必要です。
また、60歳以上、男性、両親や兄弟姉妹に脳卒中にかかった人がいるなども危険因子です。
つまり、脳梗塞の原因になる動脈硬化は加齢にともなって進行し統計によると脳梗塞は同年代では女性より男性に多いからです。
また、体質など遺伝的要因も見逃せません。
しかし、加齢や性別、遺伝的要素といった自分では管理できない因子があったとしても、脳梗塞を予防するには生活習慣を改めることにより危険因子を減らすことがなにより大切なのです。
<脳梗塞の危険因子>
生活習慣病: 高血圧、高脂血症、糖尿病、心疾患
生活習慣: 喫煙、1日2合以上の飲酒、肥満、運動不足、ストレス
年齢、遺伝: 60歳以上、男性、両親・兄弟などの罹病暦など
こんな時は、すぐに脳卒中専門医を受診
脳梗塞は急に起きますが、発症前に前ぶれ症状が表れることがあります。
これを一過性脳虚血発作(TIA)といい、前ぶれ症状を知っておけばあとで起きる大きな発作を避けることができます。
TIAは短い場合は数秒から数分、長い場合は数時間に及ぶこともありますが、24時間以内にすべての症状が消えてしまうのが特徴です。
代表的な症状
<運動障害>
食事中に箸など持っているものを落としてしまう。 足がもつれたりふらついて歩けない。
<感覚障害>
左右どちらかの顔や手の感覚がおかしい。
<言語障害>
思っていることが言えなくなる。ろれつが回らなくなる。
物が二重に見える。
物が急に飲み込みにくくなる。
グルグルとひどいめまいがする。
一時的にでも前ぶれ症状があったら、1分でも早く神経内科や脳神経外科の脳卒中専門医を受診してください。
あるいは、かかりつけの医師に信頼できる病院を紹介してもらってください。
ただし、前ぶれ症状があるのは脳梗塞を引き起こした人の約30%で、もっと少ないというデータもあります。
必ずしも誰にでも起こるとは限りません。
疑いのある人は脳の検査、心配な人は脳ドックを
たとえ前ぶれ症状がなくても、前述した生活習慣病などの危険因子をいくつか抱えている人は、定期的に脳の検査を受けるといいでしょう。
脳梗塞が疑われるような症状があれば、必要な検査には健康保険が適用されます。
脳の検査では、問診や診察、血液検査などの一般検診のほかに、心電図、眼底検査、頸部超音波、さらにCT、MRI、MRAなどのさまざまな画像検査も行います。
また自覚症状がなくても、脳梗塞や脳出血が心配だという中高年男性に受診者が増えているのが脳ドックです。
脳ドックは脳や血管の状態を知るには大きな意味がありますが、施設によっては無症状の小さな脳梗塞(隠れ脳梗塞)が見つかった場合の診断法や対処法などが異なることもあります。
これらの現状を理解して検査に臨み、場合によってはセカンドオピニオンを求めることも必要です。
原則として、脳ドックには健康保険は適用されません。
ただし、自治体や共済組合で補助金を出している場合もあるので、問い合わせてみるといいでしょう。
また、脳ドックを選ぶ際には、日本脳ドック学会の医師がいるかどうかをひとつの基準にしてください。
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