熱中症に注意!高齢者に多い発症例


熱中症に注意!

高齢者に多い発症例


体力のない年配者は発症しやすい上、自覚症状が少ないので気づいたときには重症のケースも少なくない。

安全と思われがちな室内で起こる場合も意外に多く、専門家はこまめな水分補給をすすめる。



熱中症とは?

体温調節機能を超える高温環境の影響で熱がこもり、循環器、筋肉や脳神経、腎臓などに障害が起きると死に至ることもある。

応急手当としては、涼しい場所へ運びアイスパックや冷水で絞ったタオルなどでわきの下や首回りを冷却、衣服をゆるめ緊張を解く。

少しでもおかしいと思ったら安静にし、それでも回復しない場合はすぐに医療機関へ。

どうして高齢者が熱中症になりやすいのか?

原因は3つ

(1)体温調節能力の低下

汗は体温を下げる作用があるが、加齢にともない汗が出にくくなる。

また、数日間風呂に入らない人も多く、そうなると皮脂が体の表面を覆い、より汗をかきにくく熱が体内にこもってしまう。

(2)水分の摂取量が少ない

通常、水分が体に不足すると脳が水分補給の指令を出すが高齢者はこの働きが弱まる。

その上、「のどの渇き・脈が早くなる・立ちくらみ・はきけ・血圧低下」などの脱水症状の症状が現れても、「持病のせい」、「いつもの状態」と軽視してしまい気付くのが遅れる。

夜間の頻尿や尿漏れの心配から水分摂取を我慢する方も多いですが非常に危険です。

(3)水分が出てしまう

体が脱水症状になると「水分を体外に排出しないように」と尿が濃くなるが、腎臓の働きも弱っているので尿濃度はあまり濃くならず水分が排出されてしまいます。

汗が出たり、のどの渇きを覚えたら赤信号で、自覚症状が無いまま倒れることもあるので注意が必要です。

高齢者はおおむね35℃台の低体温なので、若い人が ほおやおでこに触れて同じ体温ならそれは微熱状態。

また、舌は通常赤くふくらんだタラコのような状態ですが、乾くと縦じわが出てくるので周囲の人はここに注意してください。



熱中症の対策

定時の水分補給を習慣にする

具体的には、起床時・朝食後・10時・12時・15時・17時・夕食後・就寝前に各200ccの水分(大きなコップ1杯)を補給する。

暑い日はその倍くらい飲んでもいい。 飲むのは冷水やお茶で構わない。
手が届く所に水分の入ったコップを置いておくだけで、水分摂取量が大幅に増えます。

無理して飲まずに、一口ずつ飲むだけで水分摂取が習慣になります。

外出前にはコップ3杯くらいの水分をとり、直射日光には、なるだけ当たらないように帽子などをかぶり1時間に1回は休憩するようにしてください。

特に暑い日中はできるだけは外出を避けてください。

高齢者は冷房を嫌がる傾向にありますが、暑さによる体への負担は想像以上なのであまり我慢せず冷房も利用してください。

夜のトイレを嫌がり水分を取らない人もいますが、夜中に2、3回トイレにいくのは普通です。

あまり気にせず水分補給をしてください。

汗をかいたら塩分も補給

大量に汗がでた時には発汗量に見合った量の水を飲めないことが昔から知られ、これを自発的脱水と呼んでいます。

この自発的脱水は水だけを飲むと血液の塩分濃度が下がり、水が飲めなくなることが明らかになってきました。

われわれの体には、ほぼ0.9%の塩分を含んだ血液が循環しています。

ところが大量の発汗がおこると、皮膚をなめると塩辛い味がすることからわかるように塩分が失われます。

この時、水だけを飲むと血液の塩分濃度が薄まり、それ以上水を欲しくなくなります。

同時に余分の水分を尿として排泄し、その結果体液の量は回復できなくなります。

この状態で運動を続けると運動能力が低下し、また体温が上昇して暑熱障害の原因となるわけです。

食塩と糖分を含んだ水分補給

水分の組成としては0.1~0.2%の食塩と糖分を含んだものが有効です。

運動量が多いほど糖分を増やしてエネルギーを補給しましょう。

特に1時間以上の運動をする場合には4~8%程度の糖分を含んだものが疲労の予防に役立ちます。

これには、冷えたスポーツ飲料が手軽ですが、自分で調製するには1リットルの水、ティースプーン半分の食塩(2g)と砂糖を好みに応じて溶かしてつくることもできます。

長時間運動を続ける場合には、食塩濃度をやや高くすることが必要です。

またエネルギー源としての糖質も水と一緒に摂取することが効率的です。

運動の回復時においても水分を摂取することによって、体温の回復が早くなります。



参考(塩分濃度)

コップ1杯の水(150cc)の場合

0.2%の食塩水にするには、0.3gの食塩を入れる。(塩を指2本で軽く、少しつまんだ程度)



屋内での注意も必要

熱中症患者の約3割は安静時に発生。(平成12年7月~8月・東京の例)

熱中症で治療を受けた患者262人のうち安静時の発症は82名、うち70才以上の高齢者が32人。

室内でも高温多湿、無風の場合は熱を体外に放出できないので危険です。

加齢とともに知覚も鈍り、暑さを感じにくくなります。 就寝中に発症し、朝運ばれた人もいます。

マンションの浴室や最上階の人は要注意です。

日差しが当たらないからと安心せず、冷房や除湿機、扇風機なども適当に利用しましょう。

意外にも、夏に脳卒中で倒れる人が多いのです。

昔は冬の寒いトイレで倒れるケースが多かった脳卒中ですが暑い夏にも多いのです。

水分不足により血液が濃くなり血栓が発生しやすくなりますので、回りの人がよく説明して水分不足にならないように注意してあげてください。

尿漏れは拭いたり洗えば始末できますが、脳卒中で倒れるとは取り返しがつかないことになってしまいます。

特に、高血圧の方の水分不足は非常に危険です。



こんな症状、要注意!!

熱中症の代表的な症状

症状の度合いによっては命に関わることもあるため迅速な対応が必要です。


・熱失神

暑さによって皮膚血管が拡張し、血圧が低下することで起こります。

脳の血流が減少して、めまい・失神などの症状が現れます。

顔面蒼白になって、脈が速く・弱くなります。

<応急措置>

涼しい場所に運び、衣類を緩めて寝かせ水分を補給する。


・熱けいれん

炎天下での運動や労働中に起こりやすい症状です。

汗と一緒に塩分が放出されるため、血液中の塩分濃度が低下して、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったけいれんがおこります。

水やお茶でしか水分補給をしなかった場合にも起こります。

<応急措置>

生理食塩水を補給する。(代用:スポーツドリンクや0.1~0.2%の食塩水)


・熱疲労

発汗や水分不足によって起こる、いわゆる脱水症状です。

大量の汗が出て、体温は平常か高め、皮膚や顔色が青白くなります。

脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられます。

熱疲労は熱射病の前段階ともいわれ、この段階で処置することが重要です。

<応急措置>

涼しい場所に運び、衣類を緩めて寝かせ水分を補給する。


・熱射病

体温の上昇によって中枢機能に異常をきたした状態です。

汗は出ず、皮膚が赤く熱っぽくなり、体温は39度を越える場合が多いようです。

意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり、死亡率も高くなるため、応急処置とともに救急車の手配も考慮した方がいいでしょう。

<応急措置>

体を冷やしながら、一刻も早く集中治療できる病院へ運ぶ。


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