人に聞けない、髪の毛について12の疑問
頭髪を健やかに保とう
生まれたばかりの赤ちゃんの毛髪はうぶ毛ですが、徐々に軟毛から硬く太い毛髪へと生え替わっていきます。
ところが、硬毛から軟毛・うぶ毛へ逆にたどり始めると薄毛が目立ってくるのです。
この現象が比較的若い男性の額の生え際や頭頂部に起こるものを「壮年性脱毛症」といいます。
脱毛を予防し、いつまでも健やかな毛髪を保つための生活法、ヘアケアを紹介します。
髪の毛の疑問
<目次>
1 頭髪は1日に何本くらい抜けるの?
2 年を取ると髪が薄くなるのはなぜ?
3 若いのに抜け毛が気になります!
4 脂性だと薄毛になりやすいの?
5 壮年性脱毛性には どんなタイプが?
6 若い男性の薄毛が増えているか?
7 白髪の男性は薄毛になりにくいって本当?
8 帽子をかぶると薄毛になりやすいの?
9 脂っぽい食べ物は、薄毛になりやすいの?
10 発毛・育毛剤って効果があるの?
11 正しいヘアケア方法を教えてください!
12 毛髪を健やかに保つ生活法は?
1 頭髪は1日に何本くらい抜けるの?
1日に100本までは自然な抜け毛です
日本人の毛髪の数は平均約10万本といわれ、1日に0.3~0.35ミリ、1ヶ月で約1センチ伸びます。
毛髪の寿命は通常、2~6年です。
でも、腰の下まで毛髪が伸びている女性がいるなど、毛髪の寿命には個人差も大きく、これは遺伝的要因が関係すると考えられています。
個人差はありますが、自然な抜け毛は1日に70~80本。
100本までの抜け毛なら通常は心配ありません。
「そんなにたくさん抜けるの」と、びっくりするかもしれませんが、1カ所からまとめて抜けることはなく目立たない程度にあちこちから抜けるため気づかないのです。
そして、抜けたところから再び新しい毛髪が生えてきます。
2 年を取ると毛髪が薄くなるのはなぜ?
成長期の毛髪が少なくなるためです
毛髪はつねに成長しているわけではなく、一定の成長期を過ぎると次第に頭皮方向へ押し上げられて抜けます。
成長期から退行期、休止期を経て抜け落ちるという毛髪の生えかわりを「毛周期(ヘアサイクル)」といいます。
「25歳はお肌の曲がり角」と言われるように、皮膚と同様、毛髪も20~25歳をピークに老化していきます。
若い頃は成長期の毛髪が90%、休止期が10%ですが、老化が始まると成長期の毛髪の割合が80%程度に減っていきます。
また、毛髪が成長する時期が短くなり、以前ほど長くならないうちに抜けてしまうのです。
そのため、少しずつ硬毛から細く軟らかい毛髪になり、毛髪が全体に薄くなった印象が生じます。
一方、比較的若い男性に起こる「壮年性脱毛症」の場合、特定の場所の毛包が小さくなり(ミニチュア化)硬い毛髪を作れなくなります。
3 若いのに抜け毛が気になります!
壮年性脱毛症が疑われます
若い男性で徐々に額の生え際が後退したり、頭頂部が薄くなるといった症状がある場合、「壮年性脱毛症」が疑われます。
毛包が小さくなるため、そこから生えてくる毛髪は次第にコシの無い短い軟毛となります。
さらに毛包が小さくなると、うぶ毛しか作れなくなり、毛髪が抜けた後、次に生えてくるまでの期間が長くなり、最終的には毛髪を作る能力が無くなります。
早ければ18歳前後から硬い毛髪が作れなくなり、30代後半で見た目にもはっきりしてきます。
毛髪を手で引っ張ってみて、抜け毛に細く短い毛髪がかなり混じっていたら、壮年性脱毛症が疑われます。
4 脂性だと薄毛になりやすいの?
脂性がどうかより男性ホルモンが影響
薄毛は脂性の人にやや多い傾向がありますが、壮年性脱毛症の発症に関係するのは、主に男性ホルモンの働きです。
ただし、血液中の男性ホルモンが多いと薄毛になりやすいというわけではありません。
毛髪の成長は毛根の周囲にある毛細血管から毛乳頭を通じての指令でコントロールされています。
男性の前頭部や頭頂部の毛乳頭には、男性ホルモンを受け入れるレセプター(受容体)が多く存在します。
そのレセプターに血液中の男性ホルモンが結合し、さまざまな作用を発揮するのですが、壮年性脱毛症の人はこの作用が非常に多く現われ、毛髪の成長を抑える物質を出し、その物質の働きによって軟毛症が起こると考えられています。
また、男性ホルモンは、ひげや胸毛などでは頭髪とは逆に毛成長させる方に働きます。
5 壮年性脱毛性には どんなタイプがあるの?
前頭部から薄くなる、頭頂部から薄くなるなど
壮年性脱毛症は、主に前頭部と頭頂部に脱毛が起こるのが特徴ですが、進行の仕方を分類すると6つのタイプに分かれます。
急激に脱毛したり、脱毛の部分が円形や楕円形の場合、壮年性脱毛症でない可能性があります。
また、男性ホルモンが毛乳頭のレセプターと結合した後、どのような作用を発揮するかに関しては遺伝が関係するため、家族に壮年性脱毛症の人がいるケースが多いのが特徴です。
<壮年性脱毛症の分類と進行パターン>
6 若い男性の薄毛が増えていると聞きますが?
脱毛を招く生活習慣を見直しましょう
最近、若い男性で薄毛を気にする人が増えてきているようですが、データ的には過去と比べて発症率はほとんど変わっていません。
老化や壮年性脱毛症でなくても、誤った生活習慣によって脱毛が起こりやすくなることがあるので注意してください。
毛根は血液を作る骨髄と同様、体の中で最も細胞分裂が盛んなところですから、非常にストレスに弱い部位であると言えます。
寝不足や偏食、アルコール・喫煙なども毛髪の成長にマイナスに働きます。
あまり洗髪をしなかったり、パーマやカラーリング、ドライヤーの熱風、強い紫外線も頭皮や毛髪にダメージを与えます。
7 白髪の男性は薄毛になりにくいって本当?
白髪と薄毛の関係は明らかにされていません
通常、白髪は老化現象によって、毛根にある色素細胞の機能が低下、または消失し、メラミン色素が作られなくなって発生します。
白髪は30歳過ぎころから発生し、50代になると見た目にも目立つケースが多いようです。
今のところ、白髪と脱毛の関係は明らかにされていません。
薄毛の人は白髪が目立たないのではないかとも考えられています。
8 帽子をかぶると薄毛になりやすいの?
一般的には心配ありません
きつめの帽子やヘルメットなど頭皮を特別に締め付けたり、蒸らすもの以外、一般的な帽子が薄毛の原因になることは、まずありません。
帽子より、次のような頭皮や毛髪の状態に注意するほうが大切です。
・シャンプーをあまりしないなど、頭皮と毛髪が不潔である。
・シャンプーのし過ぎや間違ったシャンプー方法(爪を立て、毛根にダメージを与えるなど)。
・油分を多く含む整髪料の使用。
9 脂っぽい食べ物が好きだと薄毛になりやすいの?
偏食をすると毛根に栄養がゆき渡らないため
皮脂分泌を過剰にして毛根にダメージを与えることもありますが、それよりも脂っぽい食べ物を好きな人は栄養が偏りやすく、ビタミン・ミネラルが不足することが薄毛の誘因となります。
毛根は細胞分裂が盛んなところですから、栄養バランスのとれた食事と酸素を与えることが大切です。
毛根の原料となるタンパク質に加え、銅や鉄、ヨードなどのミネラルを忘れずに摂るようにしてください。
高脂肪・高カロリー食は栄養が偏りやすい
10 発毛・育毛剤って効果があるの?
発毛剤は太く長い毛髪を増やす効果があります。
育毛剤は、頭皮の血行を促進して毛根の働きを活性化させる、毛根に栄養を与えるなどの 効果があるとされています。
一方、発毛剤(ミノキシジル製剤)は、壮年性脱毛症によってミニチュア化した毛包に直接作用し、短くなった成長期を長くする効果があります。
その結果、太く長い硬毛をつくることができるようになります。
また、男性ホルモンの影響を受けずに作用するのが特徴です。
発毛剤を1日2回、頭皮にしっかり塗布することで、約1ヶ月後から「抜け毛が減った、毛髪のコシが強くなった」と感じるケースが多く、6ヶ月続けて使用すると効果がはっきりしてきます。
残念ながら、医薬品であっても個人差があり全ての人に効果があるわけではありません。
11 正しいヘアケア方法を教えてください!
洗髪後、マッサージで頭皮の血行促進を
まず、定期的にシャンプーをして、頭皮と毛髪を清潔に保つことが基本です。
毎日洗髪する場合は一度洗いで十分。顔を洗うときと同じような意識で、指の腹でやさしく洗うようにします。
洗髪後は、頭皮の血行を促進するマッサージを習慣にするとよいでしょう。
発毛・育毛剤はマッサージ後に頭皮をよく乾かしてから使用すると効果的です。
頭皮にしっかりつけることにより、毛包に働きかけることができます。
<シャンプー法>
シャンプーは直接頭につけないで手にとって、よく泡立ててから使う
1 ぬるま湯でざっと流した後、シャンプーを頭皮全体に均等につけ、指の腹でマッサージするように耳の上の生え際から中央に向かって洗う。
2 えり足から頭頂部に向かい、指を細かく動かしながら洗う。爪をたてないこと。
3 洗い残しの多い頭頂部を、指を細かく動かしながら左右に洗う。
4 最後に後頭部全体を、両手の指を交差させるようにジグザグに洗う。
5 すすぎ残しはフケ・かゆみの原因になるので、念入りにシャンプーを洗い流す。
<コンディショニング・トリートメント法>
シャンプー後、水気を切り、コンディショナーを毛髪に十分になじませ、しばらくしてからすすぐ。
<マッサージ方法>
血行を促進し、毛根の新陳代謝を高めて健康な地肌を作る効果があります。
タオルで毛髪と頭皮を乾かした後、行います。
1 まず、首から肩にかけて、親指を除く4本の指の腹で軽くもむ。
2 こめかみから耳の周りを親指で指圧する。
3 後頭部を親指とほかの4本の指ではさむように、下から上へもむ。
4 額の生え際から頭頂部へ、両手で円を描くようにマッサージ。
5 両手を頭頂部におき、頭皮をつまむよに弾みをつけて圧迫。
6 頭全体を10本の指でポンポンと、手首のスナップを利かせて軽くたたく。
12 毛髪を健やかに保つ生活法は?
全身を健康に保つ生活を心がけることが大切
毛髪は全身の健康状態の影響を受けやすい部位です。
ストレスがたまっていたり、病気をすると毛髪のトラブルが起こりやすくなりますから、全身の健康を保つ生活を心がけてください。
具体的には次の通りです。
・趣味の時間をもつなど、積極的にストレスを解消する。
・夜更かしは避け、十分に睡眠時間をとる。
・適度な運動を習慣にする。
・栄養バランスの良い食事を規則正しく摂る。
・無理なダイエットは避ける。
問11の、正しいヘアケア法を実践し、頭皮と毛髪を清潔に保つことも、脱毛を予防するために効果的です。