過活動膀胱とはどんな病気ですか?
膀胱が勝手に縮んだり、過敏な働きをするために起こる病気です。
<症 状>
尿意切迫感 ・ 頻尿 ・ 切迫性尿失禁
過活動膀胱の症状はこの3つ
尿意切迫感だけでも、過活動膀胱と診断されます。
<原 因>
1 神経系のトラブル
脳卒中や脊髄損傷の後遺症で、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きた場合。
2 前立腺肥大症
前立腺肥大症で尿が出にくい状態が続き、膀胱が過敏に働くようになった場合。
3 それ以外の原因
何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働く場合や、原因が特定できない場合も多くあります。
40歳以上の男性の7人に1人が、過活動膀胱の症状を経験しています。
過活動膀胱の年齢別性別有病率
最近の調査では、日本の40歳以上の男性の7人に1人(女性は10人1人)が、過活動膀胱の症状を持っていることがわかりました。
この中で切迫性尿失禁のある方は約半分でした。
過活動膀胱の症状が疑われる方は、早めに医療機関へ行って医師に相談しましょう。
前立腺肥大症や過活動膀胱があるときはどんな検査をしますか?
<簡単な検査>
尿検査:尿の成分や性質を分析
血液検査:ガンの有無、腎臓の機能の状態を見ます。
超音波検査:前立腺の大きさや、残尿の量、ガンや結石が無いかなどを調べます。
<詳細を調べる検査>
治療継続しても症状が改善されないときは以下の検査を行います。
直腸内指診:肛門から指を入れ、前立腺の大きさ・形・硬さなどを調べます。
エックス線検査:造影剤を注射し、尿の通り道をエックス線写真で撮影します。
尿量測定:測定装置がついたトイレに排尿し、尿の勢いを時間を追って測定します。
ウロダイナミクス検査:
膀胱や尿の状態、膀胱への尿のたまり方、尿の出方などを総合的に調べます。
治療はどのように行うのですか?
<前立腺肥大症の治療>
1 薬物療法
α1ブロッカー
α1ブロッカーはアドレナリンの働くをブロックして、前立腺や尿道の筋肉の過剰な収縮をやわらげ尿を出やすくします。
抗男性ホルモン薬
男性ホルモンの働きを抑え、肥大した前立腺を小さくします。
生薬・漢方薬
症状をやわらげる働きをします。
2 手術療法、その他
TUR-P
尿道に内視鏡を入れて、電気メスで前立腺を削り取ります。
温熱・高温度療法
高周波やマイクロ波などを使って組織を加熱し、壊死させます。
尿道ステント/カテーテル留置
尿道に器具を入れて、尿を出やすくします。
<過活動膀胱の治療>
抗コリン薬
抗コリン薬はアセチルコリンの働きをブロックして、膀胱の過激な働きを抑えます。
前立腺肥大の症状のある人は、まずはα1ブロッカー薬を飲む必要があります。
治療開始後は、残尿の量や排尿障害の症状の変化に注意し、医師と相談しながら治療を進めます。
副作用(口の中の乾き、便秘)が出た場合もすぐに医師に相談してください。
尿のトラブルは治療で治すことができます。
あきらめないで、医師の指導を守り、治療を続けましょう。
尿のトラブルの原因となる病気は、他にどんなものがあるのですか?
膀胱ガン・前立腺ガン
膀胱や前立腺にできるガンです。
できた場所によっては、排尿障害を起こすことがあります。
感染症
細菌の感染が原因で起こる炎症です。
急性膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などがあり、さまざまな排尿障害の症状が出ます。
生活習慣病
糖尿病が原因で膀胱の機能が衰え尿のトラブルになることや、高血圧・心不全などの治療薬の作用で頻尿などの排尿障害が起こることがあります。
尿路結石
尿に溶け込んでいるカルシウムやリン酸などのミネラル物質が石のように固まって、尿の通り道のどこかに詰まってしまう病気です。
尿道結石は激しい痛みを伴いますが、膀胱に結石ができた場合には頻尿や残尿感などの症状が出ます。
心因性
精神的な原因で排尿障害の症状が出ることもあります。
前立腺肥大症と前立腺ガンの関係は?
前立腺肥大症が前立腺ガンになることはありません。
前立腺の組織は、尿道のまわりの「内腺」とその周りに「外腺」に分けられます。
前立腺肥大症は内腺の組織が大きくなったもので、悪性腫瘍である前立腺ガンは、ほとんど外腺の部分に発症します。
前立腺肥大症と前立腺ガンは遺伝学的にも全く別の病気で、前立腺肥大症がガンになることはありません。
ただし、この2つが一緒に起こることはあります。
前立腺肥大症の検査を受ける時は、同時に前立腺ガンの検査も受けることをお勧めします。
PSA検査という前立腺ガンを早期に発見することができる検査法があります。