「肩の痛みは五十肩?」決めつけは危険!


「肩の痛みは五十肩?」決めつけは危険!

肩の痛みは五十肩か? 整形外科医の正確な診断が大切


肩の痛みで病院に行ったら、五十肩と言われた。

もう1年以上も、肩の痛みが続いている。

肩の痛みは治るのか?

55才の男性の「肩の痛み」の質問に整形外科医の回答。



<質 問>

ここ1年くらい右肩の痛みが治りません。

上に挙げたり、ひねることができません。

整形外科のレントゲン写真は異常無しで、「五十肩でしょう」とのことでした。 

夜寝ている時の肩の痛みが激しいのですが治療法はあるのでしょうか?

又、肩にあまり負担のかかることはだめでしょうか?



<回 答>

五十肩は通常何もしなくても良くなりますので、1年も痛みが続いているのであれば何か別の原因があるかもしれません。

レントゲンでは骨の異常ぐらいしか分かりませんが、普通の肩の痛みで骨の異常が現れるものは多くありません。

整形外科でも肩関節を専門にしていないと、肩の痛みを五十肩とひとくくりにされてしまいます。

別の整形外科でも診てもらう、あるいはよく診察をしてもらう。

そして、必要ならばMRI検査を受ける等をおすすめします。


肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)は、ある日突然肩が痛んで夜も眠れない、あるいはじわじわと徐々に肩が痛くなり動かなくなるといった症状が特徴です。

五十肩の場合の肩の痛みは1年 ~1年半位は続くことがありますが必ずよくなる病気です。

運動療法を中心に根気よく治療を続けることが大切です。 


五十肩の場合の注意点

・日頃から肩の冷えに注意し、肩を保温するようにする。

 特に就寝中の肩の冷えは、翌朝の肩の痛みの原因になります。

・肩を動かすときはゆっくりと、また重い荷物の持ち運びはできるだけ少なく。

・急激な肩の痛みが起こったときには安静にして、蒸しタオルやお風呂で温めるように。

・関節は動かせる範囲までゆっくり動かすようにする。
 ただし痛いのに無理に動かしたり、反動をつけて急激に動かすのは禁物です。

五十肩の痛みは、通常は必ず良くなります。

毎日の運動療法と冷やさないことが大切です。


<重要>

五十肩は除外診断です。

(原因不明の肩の痛みを、五十肩と診断する場合があります。)  

肩が痛いから五十肩と決め付けずに、じっとしていても激しい痛みがあったり、1年以上たっても、回復のきざしが無い場合は、五十肩以外の病気かもしれません。

整形外科で病歴を説明し、詳しい検査をすることをおすすめします。

肩の痛みのうち、や滑腱板病変液包炎、腱板疎部損傷、上腕二頭筋長頭腱炎などはレントゲン上の骨変化はなく、これらは肩の痛みが長期化する可能性があります。

いわゆる五十肩の治療法では良くならないこともあります。

他の肩関節疾患を除外してはじめて肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)という病名に落ち着きます。

肩の痛みイコール五十肩と考えるのは危険です。



肩の痛みの主な3つの病気

<病名>
<比率>
<原因>
<診断方法>

五十肩
 約50%
 関節包の炎症
 除外診断

腱板断裂
 約20~30%
 腱板が切れる
 MRI・エコー

石灰腱炎
 約 3%
 腱板に石灰が沈着
 エックス線


「肩の痛みは多分五十肩だろう」と決めつけずに信頼できる整形外科でしっかり診察を受け、他の肩関節疾患が無いか確認しましょう。



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